住まいに愛着をもつ住まい手とつくり手を取材する「WE LOVE THIS HOUSE」。
今回訪ねたのは、名水百選に選ばれた水源地があり、九州屈指の米どころで温泉地としても知られる熊本県菊池市に住む、Mさん家族(ご夫婦31歳・長男7歳・次男5歳・長女2歳)の住まい。2017年9月、もともと祖父母が住んでいたという土地を引き継いで、ご実家の隣に建てたという延床面積124.21㎡の一軒家。リビングのドアを開けると、そこには30畳近い大空間が広がり、大きな窓の先には庭の緑が視界いっぱいに映ります。
記事では、住宅会社選びでこだわったポイントや家づくりのテーマ、自宅のお気に入りスポット、アフターメンテナンスのことなど、Mさんご夫婦とともに、一緒に家づくりに携わったアネシスの取締役で、住宅ブランド『アーキハウス』代表デザイナーの岩田紘明さんにもお話を伺います。
熊本県の北東部に位置する菊池市。北部の八方ヶ岳から東部の鞍岳まで山々が連なり、菊池川の流れる平野部に市街地や田園が広がる。阿蘇山の伏流水が豊富に湧き出る菊池渓谷や美肌の湯としても有名な菊池温泉、肥沃な土地を生かして育てられる特産の菊池米など、水にまつわる産業が盛ん。
設計士と一緒に作る、
デザイナーズハウス
―――家づくりのパートナーにアネシスを選んだ理由は何ですか?
旦那さん:決め手になったのは、設計士の方と直接やりとりができたこと。他の住宅会社さんにも話を聞きに行ったのですが、基本的に図面が出来上がるまでに2週間ぐらいかかる上に、営業さんを介して話をするので、意図が伝わっていない図面が上がってきたり、なかなか思うように進めることができなくて…。そんなときに出会ったのがアネシスさんでした。今回僕たちがお願いしたアーキハウスは、アネシスの新築事業のなかでも、設計士さんと家を建てることに特化した部門で、自分たちの思い描いている住まいをより実現しやすいと思いました。初めて訪ねたときから、岩田さんが担当してくれましたね。
奥さん:はじめましてのその日にもう図面をササッと描いてくれて。『こうすればもっと回遊性が高まりますよ』とアドバイスまでしてくださったのを覚えています。
岩田さん:うちは営業がいない建築事務所。設計士と話しながら家づくりができるので、その点、細かなニュアンスも伝わりやすいと思います。また、照明や水廻り、壁紙、外構などのコーディネートや住宅ローンの手続きなど、一般的な住宅会社であれば担当者が分かれる分野も、アーキハウスでは設計士1人が一貫して担当します。最初の打ち合わせ時に話したことも、雑談中の些細なこともしっかり汲み取って家づくりに反映できますし、同じ話を何度も別の担当者に話す手間も省けると思います。
結婚式の準備と同時進行で家づくりを進めたというMさん夫婦。「とにかく時間がなかったこともあり、できるだけスムーズに家づくりをしたかったんです。アーキハウスさんはスピーディでかつクオリティも素晴らしく、本当にお願いしてよかったなと思います」
―――家づくりにおいて、特に大変だったことは何ですか?
旦那さん:振り返れば、楽しかった思い出しかないですね。打ち合わせのたびに『こういうの見つけたんですけど』と提案してもらったり、『こんなのできますか?』と相談したり。僕が特に楽しかったのは壁紙選び。とても分厚いカタログが6冊ぐらいあって、そこから選ぶ時間は本当にワクワクしました。
岩田さん:私もMさんご家族との家づくり、とにかく楽しかったです。壁や床、建具、一つひとつに対して真剣に向き合っている姿が印象的で、その分私も熱が入りましたね。既存の土地を活用できる分、建物に予算を掛けられるので、本当に良いと思う素材で建てられたと思います。おしゃれな家を造らせてもらって、私も心からうれしいです。
外壁はレッドシダーとグレーのモルタル、ワインレッドのガルバリウム鋼板と、異なる色と素材を組み合わせて、立体感のある仕上がりに。隣に建つ実家との一体感も重視した。庭にはアオハダ、クヌギ、クマシデなど、20種類近くの植物が生い茂る。
静かなムードが漂う、
ビンテージスタイルのリビング
―――マイホームを建てるにあたり、テーマにしたことは何ですか?
旦那さん:ビンテージインテリアが好きで、ほどよく陰影を楽しめる、心落ち着く空間を目指しました。そのため、壁も床も暗めの色をチョイス。特に、無垢のヘリンボーンの床はこだわりのひとつで、これを軸に家づくりを進めていきました。
奥さん:選べる木材の種類も色味もたくさんあって、サンプルを取りながら細かく選ぶことができました。イメージ通りの出来栄えでとても感謝しています。
―――リビングドアもビンテージ感があって、とても素敵ですね。
旦那さん:これも造作のすりガラスが入ったオリジナルです。特に難しかったのが、木の塗装の塩梅。良い具合に木目を残した仕上がりにするには、職人さんの技術が必要になります。サンプルを作ってもらい何度か確認しながらイメージをすり合わせていきました。
岩田さん:Mさん宅には造作のものがけっこうあって、奥さんが担当した洗面所も造作ですよね。
奥さん:そうですね。洗面台の天板は化粧をしたり、洗濯まわりのちょっとした作業ができるように広めに取ってもらい、下の収納の一部は子ども服を収納できるように、扉をつけずに仕上げてもらいました。壁は清潔感が出るように明るい色をチョイスしています。
こだわりの造作建具や家具が多いMさん宅。リビングドアはすりガラスにすることで、玄関先でちょっとした来客があっても、生活空間をうまく目隠し。奥さんの身長に合わせたキッチンの収納棚と広々した洗面台には、水に強いメラミン化粧板を選んで使い勝手も重視。
―――実際に住んでみて、特に気に入っている場所を教えてください。
旦那さん:家族が集まるリビングです。ヘリンボーンの無垢の床は素足で歩くのが気持ちいいですし、今の季節は庭の緑が美しく、窓を開けるとキッチン側へ気持ちよく風も抜けます。夏場は直射日光がリビングに入らないように、冬は庭の葉が落ちて日差しが差し込むように、ウッドデッキの庇の長さも調整してもらいました。
奥さん:私もリビングが一番好きで、なかでもテレビウォールが大のお気に入りです。設計段階でテレビや周辺機器の納まりを考えて、テレビボードも造作で設置。アクセントウォールと、間接照明でよりムードがある空間に仕上げてもらいました。間接照明だけつけてテレビを見る時間が最高です。また、子どもたちとリビングの隣の和室で寝ることもあるのですが、真っ暗だと子どもたちが怖がって眠れなくて。光源が見えないこの間接照明だけつけて寝るのがちょうどいいみたいです。
いつも賑やかなリビングは、庭の緑が目の前に広がる気持ちのいい空間。開いた魚の骨に形が似ていることから“ニシンの骨(Herring bone)”という意味を持つヘリンボーン模様の無垢床は、美しい見た目で足裏に伝わる触感も心地いい。
マイホームが教えてくれた、
暮らしの新たな幸せ
―――このマイホームに住み始めてから、日々のライフスタイルにはどんな変化がありましたか?
旦那さん:どこよりも我が家が落ち着くので、家にいる時間が圧倒的に長くなりました。一番好きな時間は、夜、家事が全部終わってから、ソファでテレビを見ながらお酒を飲むとき。夫婦共にお酒好きで、家飲みの頻度も増えました。最近は子どもたちにつまみを取られたり、なかなか落ち着いた時間は取れないですが(笑)、もうちょっと大きくなったらゆっくり楽しみたいですね。
奥さん:あとは庭ができたことで、よくBBQをするようになりましたね。ウッドデッキをそのままベンチとして使えるのがとても便利で、日差しの強い日はタープが張れるようにDIYしています。キッチンで食材を仕込んだら、一直線で庭まで運べる。この動線も快適なんです。
―――立派なお庭ですよね。
旦那さん:植栽は僕の父が担当してくれて、阿蘇の溶岩石を置いたり、20種類以上の植物を植えたり、いろいろこだわってくれました。夏場はクワガタもよく見かけるんです。子どもたちにとっては小さな公園のような場所で、よく走り回って遊んでいます。
Mさん宅には外にも中にも子どもたちの遊び場がたくさん!2階の子ども部屋には冷蔵庫やテレビも完備。「将来的には完全な子ども部屋として使う予定ですが、今は前の家で使っていた家具などを配置して、セカンドリビングのように楽しんでいます」
心強い家づくりのパートナーがいれば、
未来はもっと楽しみになる
―――この家に住み始めてもうすぐ丸6年。今までアフターメンテナンスをお願いしたことはありましたか?
旦那さん:大きなトラブルはないですが、トイレの壁紙だけ張り替えてもらいました。もともと暗いネイビーでしたが、実際使っていると思いのほか汚れが気になって…。そのときもまずは岩田さんに連絡しましたね。
岩田さん:そうですね。私の方からアネシスのグループ会社でアフターメンテナンス事業を担う『リリーフ』に連絡をとって、作業にあたってもらいました。
―――自社のグループ内でアフターメンテナンスまで一貫して手掛けることは、どんなメリットがあるのでしょうか?
岩田さん:まず、何か問題が起きたときに、『それはアフターに任せているから』、『それは建てた会社の責任だから』と、結果的にお客さまが板挟みになってしまうケースを未然に防ぐことができます。さらに、設計士たちも“建てて終わり”ではなく、施主さんの“建ててからの暮らし”に責任を持って家づくりをしようと意識ができる。アネシスは、“アフターメンテナンス日本一”を目標に掲げている会社です。
―――熊本地震の際、アネシスではどのような対応を行いましたか?
岩田さん:弊社では災害対策室を設けています。地震や台風などの広域の災害時に、全社員で約3,300件のオーナーさまの安否確認、被害状況確認と復旧を最短で行う仕組みです。実際、熊本地震が起きた直後は、家を建てたいという新規のお客さまも殺到したのですが、まずうちがやるべきことはアネシスで家を建ててくれたオーナーさまの日常を取り戻すことだと、約3ヶ月間通常の営業は止めて復旧活動に専念しました。リリーフの担当スタッフだけではもちろん回らなかったので、アネシスグループの社員総動員で作業にあたりました。
旦那さん:家を建てた当時、僕たちはそこまでアフターメンテナンスの必要性を感じていませんでしたが、いざ暮らしが始まると、やはり身近に頼れる人がいることは日々の安心感につながると実感。我が家でなにか問題が起きたら、まずは岩田さんに連絡。家が建ったあとも心強いパートナーです。
「数年ごとに定期点検を行い、何かが起こる前にメンテナンスで防ぐ、これが私たちのアフターサービスです。万が一アネシスで建てたお家で緊急な対応が必要になった場合、24時間対応のメンテナンスサポートも行っています」と岩田さん。
―――このマイホームを舞台に、これからどんな暮らしを楽しみたいですか?
奥さん:家族や友達がたくさん集まる、みんなで楽しく過ごせるマイホームにしていきたいです。庭でのびのび遊んでいる子どもたちの姿を眺めながら、大人たちはリビングでまったり過ごす。この家だからできる贅沢な時間を満喫したいですね。
旦那さん:僕も庭は充実させていきたいですね。最近は雨が降ってもBBQができるように、カーポートを建てたり、ウッドデッキから直接アクセスできるガレージを作ることを検討しています。
岩田さん:せっかくならリビング窓の緑の抜けを生かしつつ作りたいですよね。また一緒にじっくり考えましょう!
玄関先に建てた枕木は、もともと砂場の囲いとして使われていたもの。「以前空き地だったこの場所に、隣に住む僕の父が子どもたちのために砂場をDIYしてくれたんです。この枕木を見るとそのときの思い出が蘇ります」
文:北居る奈
写真:田中誠
VOICE FROM HOMEBUILDER
私は新卒でアネシスに就職し、今年で18年目。仕事をする上で心がけていることは、『自邸を建てる熱量で一棟一棟向き合うこと』、『目の前にいるお客さまを自分の家族・友人だと思って、絶対に裏切らない。嘘はつかない』。“何軒建てたか”よりも、“どれだけのお客さまを幸せにできたか”を大切にしたいです。お客さまを幸せにするためには、ちょっと言いにくいことを言うこともあります。使いにくい、かっこわるい、お金の無駄使い…そう思ったら、お客さまに“なぜダメなのか”をきちんとお伝えします。それが家づくりのプロの仕事だから。家づくりの主役はお客さま。出来上がった家の半分以上はお客さまの想いを優先します。でも、残りはアーキハウスの誠意でありたいと思っています。(アネシス 岩田紘明さん)
株式会社アネシス
安心も、安全も、幸せも。
見えないものを建てていく
アネシスはギリシャ語で“安心”という意味で、社名には“家に住み始めた後も安心して暮らしていただきたい”という願いが込められている。創業当初から“アフターメンテナンス日本一”を目指し、注文住宅事業、分譲住宅事業、リノベーション・リフォーム、アフターメンテナンス、不動産開発だけでなく、ライフスタイルショップ『HOTOLI』の運営など、住宅や暮らしにおける幅広い分野を網羅。注文住宅事業では、設計士と直接家づくりができるブランド『アーキハウス』や、愛着のある素材にこだわるブランド『HOMEPARTY』など、複数の注文住宅ブランドがある。また、2019年には熊本県内の建設業では初となる、大規模災害などの有事への対応が優れている企業に贈られる『レジリエンス認証』も取得。