住まいに愛着をもつ住まい手とつくり手を取材する『WE LOVE THIS HOUSE』。
今回訪ねたのは、名だたる文豪たちが愛した温泉地『城崎温泉』や、国の特別天然記念物“コウノトリ”の里としても知られている兵庫県北部の豊岡市。
南北に流れる円山川のほとりに建つのが、Nさん家族(ご夫婦40歳・娘さん9歳)の住まい。2023年10月に完成した延床面積104.76m²の一軒家で、部屋の中からは四季折々の雄大な景色を楽しめます。
記事では、マイホームが完成するまでの経緯や、実際の暮らしぶりについてなど、Nさん家族と共に家づくりに携わった『ウッドプラン』の岡田祐介さんも交えて伺いました。



市域の約8割を森林が占め、中央部には円山川が流れる兵庫県豊岡市。自然豊かな場所でしか生きることができない、コウノトリの生息地としても有名。
川を庭にする、
特別な立地
マイホームを建てようと思ったきっかけを教えてください。
奥さん:私はずっとマイホームに憧れがあったのですが、夫はそれほど興味がなく...。そんな夫が『ここなら建てたい!』とテンションを上げたのが、この円山川沿いの土地。もともと売りには出ていなかったのですが、交渉してどうにか売ってもらえることになったんです。
旦那さん:僕も妻も地元ではない兵庫に家を建てるということには少し躊躇していましたが、この場所なら定住する価値があると思いました。僕は釣りが好きで、川のほとりに住みたいという夢があったんです。家から川までの距離はたった3mほど。まるで川が庭の一部のような立地です。
部屋からの景色、圧巻ですね。
奥さん:毎日見ていても本当に飽きることがありません。日没前、徐々に夕日が沈んでいく様子は、心を穏やかにしてくれます。そして日が完全に落ちると、対岸に建つホテルのライトアップが始まります。夜はまるでリゾート地のような雰囲気で、水面に映る月明かりもとても美しいです。
旦那さん:早朝発生する“川あらし”も素晴らしいですよ。明け方、気温が下がると海に向かって霧をともなう冷気が川をフワーっと下っていき、徐々に光に包まれていくんです。その中にいると、なんとも不思議な感覚に。この『円山川あらし』は、日本三大川あらしのひとつとも言われているんです。
また、季節によっても景色は刻一刻と変化します。冬は水鳥がたくさん訪れるのですが、魚を捕らえようと水に潜ったと思ったら、ちょっと遠くの方から顔を出したりして。朝は庭で川を眺めながら歯磨きをするのですが、生き物の観察に夢中になって、気づけばかなり時間が経っていることもしばしばです(笑)。



森と川の間に佇む、自然が身近なNさん宅。夏は日本一の暑さを記録し、冬は雪が降るほど冷え込む豊岡市。四季の変化がはっきりと感じられるのも、この地ならではの魅力。
住まいのプランは、
理想の暮らしから紐解く
家づくりのパートナーにウッドプランを選んだ理由を教えてください。
奥さん:まず、“家”や“暮らし”を本当に好きな人たちの集まりだと感じたことです。他の住宅会社さんでは『何LDKがいいですか?』、『欲しい設備はなんですか?』といった住宅のスペックを中心に聞かれることが多かったのですが、ウッドプランさんだけは『どんな暮らしがしたいですか?』と尋ねてくれました。
家づくりの途中で『この設備が欲しい』と要望をお伝えしたときも、ただ取り入れるのではなく、『なぜそれが欲しいのか』を丁寧に聞いてくださり、難しい場合には『こういうアプローチはどうでしょうか』と代案を提案してくれる姿勢に感激しました。
岡田さん:ウッドプランでは、お客さまの暮らし方や生き方を住まいの設計に反映させることを大切にしています。お客さまがどんな暮らしをイメージしているのか、理想のライフスタイルや住まいづくりの目的、予算、妥協できないポイントなどを細かくヒアリングノートに書いていただき、家づくりの前提を理解するところから始めます。
奥さん:ウッドプランさんはファーストプランが圧倒的でした。他社では“家に暮らしをはめていく”ような、自分たちの暮らし方を変えなければならない提案が多かったなかで、ウッドプランさんは無理なく暮らせるだけでなく、“暮らしが広がる”プランを提案してくださいました。

「相性の合う工務店さんとなかなか出合えず、一度は諦めかけた家づくり。岡田さんに出会って、はじめて家づくりにわくわくできたんです!」とNさん夫婦。
ウッドプランといえば、造作家具も人気ですよね。
奥さん:そうですね。それもウッドプランさんを選んだ理由のひとつです。キッチンのカップボードやデスクスペース、テレビボード、階段など、すべてオリジナルで作っていただきました。どれもデザイン性が高く、非常に気に入っています。
旦那さん:洗面所も造作です。娘がドライヤーを使ったり、妻が化粧をしたりと、ゆっくり支度ができるように洗面台を広めに設計していただきました。また、椅子がしまえるスペースも作ってもらい、とても使いやすいです。
岡田さん:ウッドプランの造作家具は、自社の家具職人が手がけており、比較的良心的な価格でご提供しています。お引渡し前には、念入りな検査期間を設けているため、少しお時間をいただくこともありますが、クオリティにはたしかな自信があります。お客さまに喜んでいただけるのが何よりの励みです!



ウォールシェルフや階段、旦那さんのデスク、洗面所など、すべてウッドプランの造作。木の色や引き出しのサイズ、取っ手の素材、高さなど、細かく決められるそう。
快適な家事動線と美しい景色で、
ストレスフリーの暮らし
マイホームを建てるにあたり、テーマにしたことは何ですか?
旦那さん:『インドアもアウトドアも、両方楽しむこと』です。
僕はキャンプやバーベキューをするようなザ・アウトドア派ではないですが、外にいることは好きなんです。家では釣りや家庭菜園を楽しめる庭を作りつつ、2階の和室では漫画を読んだり、家の中でも外でも居心地の良い空間を作りました。
奥さん:私は3、4日間、ずっと家にこもることもあるぐらい、根っからのインドア派です(笑)。でも、この家なら外に出ずとも外の景色を楽しめるので、気が滅入ってしまうこともないですね。
自宅の中で、特に気に入っている場所を教えてください。
奥さん:まずはキッチンです。家を建てるなら、絶対に壁付けキッチンと作業台のある台所を作りたいと夢見ていました。以前、対面キッチンの家に住んだこともあったのですが、食事の準備をするとき、ダイニング側へぐるっと回るのが面倒で...。私は振り返ってすぐダイニングがある壁付けのほうが圧倒的に使いやすいと感じています。また、キッチンで作業をしながら仕事もできる壁付けキッチンからの壁付けデスクの動線も気に入っています。
もうひとつ気に入っているのが、ランドリールームです。洗面所→ランドリールーム→ウォークインクローゼットと、“絶対に止まらない動線”を作りたかったので、扉はあえてつけずにカーテンで仕切っています。洗濯物干しの高さはミリ単位で調整してもらい、長い衣類と短い衣類を効率よく干し分けられるよう工夫しました。
旦那さん:僕が特に気に入っているのは2階の和室です。川の景色を美しく切り取れるように、窓の縁をできるだけシンプルに仕上げてもらいました。究極にこもれる空間で、妻が1階でリモートワークをしている間もゆっくりくつろげるお気に入りの場所です。



「学生の頃からインテリアの勉強をしてきました。自分の暮らしがどうしたら快適になるか、ずっと研究し続けています」と奥さん。
岡田さんはNさん宅の家づくり、どんなところに思い入れがありますか?
岡田さん:特にこだわったのは、景色をどう切り取るかという点です。川が美しく見える感動の角度を探って、家自体を道路に対して斜めに配置するプランを提案させてもらいました。リビングのフローリングも斜めの窓に合わせて斜めに敷いています。
奥さん:対岸の桜並木が最も美しく見える角度を考えて設計してくださいました。景色については岡田さんにおまかせできた分、私は家の中の動線や暮らし方といったソフト面を考える時間がしっかりと取れて、とても良いバランスで家づくりができたなと感謝しています。
岡田さん:思い切った提案は、予算や動線の兼ね合いで難しいことも多いのですが、Nさん夫婦は一つひとつの提案に真摯に向き合い、妥協せず実現してくださいました。楽しいおうち作りにご一緒させてもらえたことが非常に嬉しいです。
奥さん:こちらこそ、完璧だと自信を持って言える家づくりができて、とってもうれしいです。私たちのこだわりが強い分、岡田さんはじめ、建ててくれた方々はとっても大変だったと思いますが、それでも面倒くさがらず、最後まで向き合ってくださったことに感謝しています!



窓ごとに違った川の景色が広がる。FIX窓は内押縁ではなく、外押縁を採用し、窓枠がまるで額縁のように景色を切り取る。
我が家が家族それぞれの
個性が輝く場所に
このマイホームに住み始めてから、日々のライフスタイルにはどんな変化がありましたか?
旦那さん:休みの日には出かけることが多かった僕は、家で過ごす楽しさを見つけて、インドア派の妻は外が身近になり、娘は友達を気軽に家へ招けるようになりました。それぞれが自分の時間を楽しみながら、家族としての時間も豊かに過ごせています。
ご家族それぞれの趣味を教えてください。
旦那さん:僕はやっぱり釣りです。今まで釣りをやってきて一番うれしかったのは、家の庭で80cmのスズキを釣ったこと。釣った魚は庭のシンクですぐにさばいて、その日に新鮮な状態でいただきます。ここは川と海が混ざる汽水域なので、クロダイ、スズキ、キス、ハゼなど、季節ごとにさまざまな魚が釣れるんです。仕事帰りに夜釣りを楽しむこともありますよ。
奥さん:私は最近パン作りにはまっています。先日は娘の友達6人と一緒に焼きました。キッチンダイニングには大きな作業台を設けているのですが、これが本当に便利です。日々の料理はもちろん、パンやお菓子作りにも活躍しますし、夏休みには娘が工作や習字の道具を広げたり。作業台でミシンをかけながら、ダイニングテーブルでアイロンもかけられるなど、用途が広がる空間です。
あと、娘は友達と遊ぶ機会が増えました。うちの子は内気な性格で、これまでは友達の家に行くのも苦手でしたし、我が家に招くこともなかなかできませんでした。でも、この家に住んでからは2階の子ども部屋と和室へ友達を気軽に呼べるようになり、いつも楽しそうに遊んでいます。これが、この家を建てて一番よかったことです。
このマイホームを舞台に、どんな未来を想像しますか?
旦那さん:人生の夢がすべて叶ったと言っても過言ではないくらい、理想の家ができました。あとは、この家でのびのびと、自分たちのペースで暮らしていきたいですね。魚を釣ってさばき、野菜を育てて収穫し、パンを焼いたり、ゲームをしたり、漫画を読んだり。家族それぞれが好きな場所で、好きなペースで自分らしく過ごせればと思います。



「2階の和室で川を眺めたり読書をしていると、あっという間に時間がたってしまうほど居心地がいいんです」と旦那さん。それぞれが自分の趣味を大切に、のびのび暮らす姿が印象的だったNさん家族。
文:北居る奈
写真:佐々木孝憲
VOICE FROM HOMEBUILDER
私たちが大切にしているのは、単なる家づくりではなく、住まう人が思い描く暮らしや未来に寄り添うことです。理想やこだわりを丁寧に伺い、時には代案を出しながら、一緒に最適な形を見つけていく。そのために、リラックスした雰囲気の中で本音を引き出し、信頼関係を築くことを大切にしています。このプロセスこそが、住まい手にとっても、つくり手にとっても、心から納得できる家づくりにつながるのだと思います。(ウッドプラン 岡田 祐介さん)
株式会社ウッドプラン
ずっと愛せる木の家と、
新たなライフスタイルをデザインする
株式会社ウッドプランは、兵庫県豊岡市を拠点に、木の温もりを大切にした注文住宅を手掛ける住宅会社。家づくりだけでなく、空間に調和するオリジナル家具の提案にもこだわり、住まう人の暮らしを豊かにするトータルデザインを提供している。お客さまの想いに寄り添い、心地よく、永く愛される住まいを形にする。





